2011年 07月 20日
神奈川新聞社掲載記事
ご紹介が遅くなりましたが、貼っておきます。
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東日本大震災によって、写真に対する思いが変わった人たちがいる。津波で流された大切な1枚を見つけて涙する被災者の姿に、相模原市のサークルはあらためて気づかされた。「写真は宝物」。それぞれの“宝物”と向き合える喜びをかみしめ、16日から横浜市内で展示会を開く。
相模原市南区の「喫茶ナチュラル」の常連でつくる「なちゅフォト」。2008年に結成し、20代から60代の30人で活動。これまでも年に数回、撮りためた作品を発表する会を開催してきた。
3月11日は、次回の写真展の開催が決定したばかりだった。未曾有の災害に際して、自分たちは何ができるか。心を動かされたのが、住まいや家具、大切な品々を津波で流された被災地で、思い出の写真を見つけ出した人々の喜びを伝えるニュースだった。
「これまでは夢中でシャッターを切るばかりで、かつての作品を見返す機会は少なかった。被災された方の写真に対する思いから、宝物なんだと気づかされた」。代表の鈴木哲史さん(35)は振り返る。
今回の展示のテーマは、「古い写真」に決まった。実家の祖母を訪ね、亡き父が残した思い出を母に聞くなどして大切な1枚を探した。何十年も前の家族写真を新たに発見したメンバーもいた。
集まったのが、母の体に妹が宿る中で家族一同で撮ったものや、亡き父が自慢げにカメラを構える40年近く前のモノクロ作品など約30点。会場では、解説を添えて展示する。
被災地には、思い出の詰まった写真をすべて失った人もいる。被災していない自分たちが、古い作品と向き合うことにためらいもあったが、「多くの人たちに、写真を大切にする気持ちを伝えたかった」。開催に向け、鈴木さんたちは準備を進めている。
写真展は横浜市中区山手町の山手234番館で、18日まで。午前9時半から午後5時。16日は同1時から、18日は同4時まで。メンバーのミニ個展も同時開催する。問い合わせは、喫茶ナチュラル電話042(756)4919。